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シュバルツバルトな毎日

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2007年 06月 17日

昨日の続き

昨日はニコがあの雑誌を持ってきてくれて、「載ってるよ」って教えてくれたから、どうも自分の顔や手が載っていることに気がいって、あのような記事になりました。しかしよく考えてみたら、僕の撮った写真が出ているということは、僕の作ったものが掲載されているということだなぁ、と。
昨日の続き_a0207111_415471.jpg
これが僕の撮った写真。記事先頭の写真で、僕の作業が(お願いもしていないのに)こんなに大きく載っているというのは嬉しいこと。とくにこの作業は時計屋さんのする作業の中では最も難しい加工の部類に入ります。その難しさ、精密さを印象つける被写体に僕の作品が選ばれているというのは、なかなか愉快(笑)

写真の被写体・部品はUnruhwelleテンプの軸です。確かこのときは直径2.5mmの焼きの入った鋼からこの軸を削りだしました。

昨日の続き_a0207111_416089.jpgこの棒の直径が2.5mm
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昨日の続き_a0207111_4164247.jpg
昨日の続き_a0207111_417373.jpg
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軸の全長がおよそ6.6mm。直径の許容寸法はほとんどのところで2/100mm以下。グラスヒュッテの時計学校ではこれをKreuzsupport往復台を使って削っていましたが、我々の学校は手持ちバイトで勝負!です。焼き戻してあるとはいえ、焼きが入っていますからこの軸はものすごく硬い!そしてこの小さな許容寸法。手持ちバイトでの削り出しですから、時計学校でやる実習の中では最高級に難しい課題です。
そして最後に来るのが、雑誌に掲載された写真の作業、Zapfen軸両端部分の磨きの作業です。Zapfenの直径がこのとき0.14mmで、その細い部分に超硬の円盤を押し当て、回転させながら磨きます。あまりに細いので細心の注意をもってやらないと間違いなく折れます。まぁ、皮肉っぽく言うとこの作業は、「今までの努力を水の泡にする作業」です、冗談じゃなくて。それほどこの磨きの作業は難しい。

これを撮ってからもう2年経ちましたが、それでも時計科の主任がこの写真を選んだということは、あれ以降、これほどうまくいった、面白い(時計屋にとっては技術的に面白い)写真がないってことですな(笑)
追記0619:
tomさん
往復台、僕言葉間違いました、たぶん。昨日の続き_a0207111_4183543.jpgこのことを言いたかったのです。日本語で複式刃物台かなぁ?あくまで旋盤の話です。ベットの上に固定して半径方向、長さ方向に送りねじでバイトを正確に送るための台。これを使わせてくれるなら楽なのですが...バイト、超硬を使います。HSSでは1分も持ちません。しかし、非切削物の表面が比較的きれいにできるので、仕上げの時にHSSをつかうことはあります。それから片持ちです。心ブレを心配するのは最もですが、実際の作業では、それで困ったことはありません。ただ、確実に右側から仕上げていかないといけません。写真5枚目の状態で右側を再度手直しなんかしたら、当然芯ブレ、いやーそれ以上ひどいことになりますね(笑)保護メガネはしないです。した方がいいですけどね、品物が小さいから、メガネしたらよく見えないです。また見に来てくださいね。

by furtwangen | 2007-06-17 07:50 | 手工業会議所@Freiburg


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