2008年 01月 31日

「よりきれいな曲線」って何さ?

仕事の内容をここに載っけるのはよくないような気もするけど、だれも愚痴を聞いてくれないからここに書きます。
いや愚痴というほどネガチブなことではないですけど。
僕がいま仕事で苦しんでいること。それは、
a0207111_00164.jpg
上のクルッと円弧を描いている部品、このきれいな曲線が出てこなーい!
もちろんこの写真の部品そのままの曲線ではないですよ。ちなみにこの時計は僕の働いている会社の時計ではないです。(この写真にはネジがひとつ欠けてます)
この丸い円を描いている部品をRegulatorfederとか、特にこの形のをSchwanenhalsregulatorfederといいます。Regulatorは時計の歩度を微調整するための機構で、その機構にいつも緊張を与えておくためのFederバネです。

で、このバネは「微調整するため」という機能的な役割と同時に時計のメカの美しさにも大きな影響を与えます。バネだから力がかかる格好をしていれば機能的にはどんな格好でもいいわけですが、どうせなら上の写真にあるようにきれいな、美しい曲線を持ったバネにしたいわけです。

その美しさといま戦っているんですよ。なかなか「これだ!」っていう曲線が出てこない(泣)上の写真は説明するために載せたもので、僕がやっている、狙っている形状はぜんぜん違う形です。だからこの写真を見て、簡単じゃないか、なんて安易に思わないでくださいよ(笑)。この写真にある美しさとはまったく別の美しさを持つバネをゼロからつくるってことです。

ただ、形状は違っても見た目美しくないといけないことには変わりない。で、もうどのくらいこの作業をしてるかなぁ。12月には始めてたから、もう2ヶ月近くこれに悩まされているということですよ。いろんなバリエーションを提案してるんだけど、「よし、これで行こう!」っていうのがまだない、というか先生がOKを出してくれない。もう案、可能性は出尽くしていると思うんだけど。その証拠に、先生が新たに描く曲線は最近では 以前に試したものばかり。助け舟を出してくれるのはありがたいけど、提案が堂々巡りをしちゃって解決策になってない!

きれいな曲線を追求するといっても、何の束縛もなく自由にできるわけじゃないです。会社として「こういう感じの曲線」っていうのがあるし、その曲線を展開する空間の制限もある。とか、いくらいい曲線でもほかの部分との調和っていうのもある。バネとしての強度も必要なわけで、簡単じゃないんですよ。「より美しい曲線」って言うのはやさしいけど、それって何さ?って言いたいですよ。

今日、先生がひとつ気に入った格好のを(結果はどんどんプリントアウトしてるから)持っていったから、その辺で妥協してくれないと時間もないですよ、先生。

それでこの苦しみの中から学んだこと、学んでいること。

1.美しさに対する感覚は基本的に皆同じ。曲線の中で「ここがちょっと変」と思っているところは、必ず指摘される。
2.より美しい曲線を追求して、どんどん凝った、複雑な曲線を描いていくと、どんどん美しくなくなる。変な断言だけど、もっとも美しい曲線は純粋な「円」。円弧を繋ぎ合わせて美しいと思える曲線は3つの円弧までだね。4つ以上の円弧を繋ぎ合わせても美しい曲線になることはまずない。とっても苦しそうな不自然な曲線になりますよ。
3.曲線自体がきれいでも、周りの部品の位置や形状によって、その曲線がきれいに見えなくなることがある。(上の写真の場合、円弧状の曲線の中にネジがあるでしょ。このネジの位置が曲線をきれいに見せる重要なポイントね。)
4.ただ、2の作業、悶々とした出口のない作業で苦しんだ後、駄目だーって開き直って出てきたシンプルな曲線っていうのは使いものになることが多い。

この曲線問題が解決してくれないと夜よく眠れない。
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by furtwangen | 2008-01-31 05:14 | 黒い森の小さな町


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