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シュバルツバルトな毎日

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2008年 04月 12日

追悼の部屋

僕の働いている会社は、最近はパッとしませんが、歴史ばっかりは長いのであります。
僕が実際に働いている建物も、創業当初に建てられたもので、建物の中や敷地を歩いていると、その歴史の重みを感じちゃったりするのであります。以前にも、防空壕について書きました。実は昨日、もうひとつ別の防空壕を見つけました。いつもその入り口の扉の前を素通りしてましたが、いつも閉まっているので気づきませんでした。昨日は珍しく扉が開けられていて、中をチラッと見たら、恐ろしいくらい長ーい真っ直ぐなかまぼこ型のトンネルが掘ってあって、その左右の壁に穴がいくつも開いてましたから、そこからさらに左右に広がっているのでしょう。

ところで、僕がいつも使っている建物の入り口は、正面の入り口じゃなくて建物の右端にあります。最近、亜麻仁油が塗られて生き返った巨大で重たい木製の扉で、そこを入ると十畳くらいの広さのホールになっています。そしてその右に
追悼の部屋_a0207111_417380.jpg
こんな部屋があります。
入社したころは、守衛さんの部屋かなぁ、なんて思っていましたが、人がその部屋にいたためしがないので、よく見てみたら、どうも過去の戦争に散った同僚を追悼する部屋なのです。
追悼の部屋_a0207111_4171628.jpg
「1914-1918
あなたの(我々の)仕事場から戦場へ赴き亡くなった人たちに敬意を表して」
第一次大戦で亡くなった同僚の追悼板のようです。左右に、戦死した同僚の名前と(多分)所属部隊、生年月日と亡くなった日、場所が記されています。

左上の壁には
追悼の部屋_a0207111_4173177.jpg
「祖国のため、我々の製作所で共に働いていた多くの仲間が戦死した。
1939

世界大戦
1939
1945

784人 戦死
288人 行方不明

会社はこの人たちのことを悼む
1952 1月1日」
と、まぁひどい訳ではありますが、そんなことが書いてあります。
出兵して千人以上の同僚が帰ってこなかったんですね、本当に痛ましい、大変な過去です。
写真の画素が悪くてはっきり読めませんが、「この戦争の犠牲者の名前は、最終的に本に登録、書き込まれます。○○さんの秘書のところにあって、いつでも閲覧できます」というようなことが書いてあります。犠牲になられた方の人数が多すぎて、銅版に彫ってられないんでしょう。「秘書のところにある」とは言いますけど、この写真をよく見ると真ん中の四角い木枠の右端に兆番が着いている。だからきっと、この木枠は扉で、いまはその扉の中に、その記録された本が入っているんじゃないかなぁ、と思います。
追悼の部屋_a0207111_4175474.jpg
本当に重い過去だと思います。僕は毎朝、毎夕この部屋の前を通ります。つまらないことで悩んだり、ひねくれたり、舞い上がったりする僕を、少なくともこの部屋の前を通る時だけは諌めてくれる様に感じます。

by furtwangen | 2008-04-12 06:46 | 黒い森の小さな町


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