シュバルツバルトな毎日

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カテゴリ:時計メカ( 17 )


2012年 04月 08日

久しぶりにむき出しメカ購入

久しぶりにStuttgartの蚤の市に行きました。
お目当てはもちろん、腕時計のメカ。
で、結局
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こんなにたくさん買ってしまいました。
品定めの際に持参のルーペでメカを観察していたら、店のおじさんに「Uhrmacherか?」と尋ねられたので、正直に答えたら、たいそう喜んでくれて、大量購入を条件にとても安い値段で売ってくれました。彼はPforzheimの時計学校で勉強したと言っていました。
こんなバンドもケースもない、修理したところで使い物にならない、むき出しのメカは、はっきり言ってゴミなのかもしれません。でも、こういう壊れていないのに、拾い手のないメカに僕は心躍ります。

まずは、これらWerkのIdentitätを突き止めて整理保管。暇なときに洗浄。
うまく直せなくても、誰にも迷惑をかけないメカいじりは、本当に楽しい作業です。

0418:oyosamaさん
はじめまして。
機械式の時計は、ぜんまいの力で動きますが、今の時代にゼンマイ仕掛けの実用的な機械というのは、あまりないですよね。そういうクラシックな機械要素も魅力のひとつでしょうね。

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by furtwangen | 2012-04-08 06:06 | 時計メカ
2009年 03月 12日

時計メカTissot709-1

今日は突然雪が猛烈に降ったと思うと、パタッとやむ。そういうのが何度かありました。

また懲りずに時計の写真です。もう今回でこのメカの話はひとまずお仕舞いにしますので、どうぞがんばって最後まで観ていってください。せっかく買ったんで、みんなに見ていただきたいわけですよ(笑)
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今日のは円形のWerkメカです。相変わらず大きな歯車が2つあって、ルビーの石が5つ見えています。これらの配置は、昔からあるひとつの定番です。というか、こんなに小さい円形(直径15mm)の中にこれらすべての要素を配置しようと思うと、もうそんなにいろいろな可能性はないのであります。Werkの形は違っても、みな同じような配置になってしまいます。その典型のひとつといっていいでしょう。
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このメカはTissotが自分で作ったメカで709-1という名前がついています。別にどこがすごいっていうところはありませんが、全体として綺麗なメカだと思います。特に上等なメカでなくて、大量に作られたと思います。
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ちょっと目に付くのが、この右の歯車。内側にある2つの小さな平ネジで、歯車を押さえています。機能的には1つのネジで押さえるよりもいいです。
ん?...よく見ると...2つのネジの位置が歯車円に対して少し偏心した位置にありますね。少しリュウズの方に寄っている。これは参考になります。ゼンマイを巻き上げるとき、この歯車にどういう力が作用するか考えてみると、確かにこの2つのネジの配置は理にかなっている。いま気付いた(笑)

ちなみに文字盤は
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四角です。これもご婦人用の時計。

これも4オイロでした。テンプの振幅がかなり小さくて「おぃ、大丈夫か、しっかりしろ!」って声をかけたくなってしまいます。体調が万全ではないようで、いつか分解洗浄してやらないといけません。

Tissot 709-1:
Handaufzug 17Steine 19800A/h Gangreserve 41h
1960-1971 D15,3mm H3,2mm
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by furtwangen | 2009-03-12 07:30 | 時計メカ
2009年 03月 11日

時計メカAS1012

昨日の続きですが、昨日とは違うメカです。
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これもご婦人用の腕時計のためのメカです。AS1012という名前です。1960年頃の製作で、これは大量に生産されたと思われます。
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やはりUnruhがきれい。大きさは直径約6mm。真ん中に大きなルビーの石がありますが、その石の姿(Incabloc)を見ると、この時計がそんなに古い時計でないことがわかります。
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写真右のほうにあるネジ頭(スリットなし)がSenkerによってえぐられてます。Auswuchtenバランス取りがちゃんと行われたということです。写真左下にAS1012と刻まれているのがわかりますか。これがこのメカのWerk番号です。こういうちょっと隠れたところに番号が刻まれていることがよくあります。

このメカを使って「腕時計」という商品にして売るのは、また別の会社です。今回のは、EBELという会社の腕時計の中に入っていたメカです。
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写真の歯車にそう刻まれていますでしょ。EBELって。一瞬この会社が作ったメカかと思いますが、そうじゃない。メカを作ったのはあくまでもAS。
歯車のところにある2つの大きなネジ頭は綺麗かなぁ?ちょっとダレているようにも思うんだが、まぁ、ご婦人用のメカということで、丸みのあるネジ頭のほうがいいのかなぁ?
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4つのルビーの軸受。左下のは、ちょっと手が込んでいますね。機能的にはこんなことをしなくても大丈夫ですが、あるんなら、それはそれでいい。
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こんなに綺麗なメカがガラクタの中に埋もれていたんですから、これからもよくよく注意して探してあげないといけないです(笑)。ちなみに、このメカは2オイロでした。

AS1012:
Handaufzug B13 x L15,2 x H3,6mm 18000A/h Gangreserve 44h ca.1960 17Steine Incabloc Stoßsicherung

0311:ゆむるたさん
コメントありがとうございます。
そうです。仰るとおりで、腕時計の中は小さな空間ですが、無限の美しい世界が広がります。そして、これまた仰る通り、部品を作るのが大変なのです。わかっていただけて嬉しいです。

企業ではどうしても利益追求型のもの作りになりますね。それしか知らないと、理想の姿(部品、製作方法)を知らないで育つ。利益ではなく、本来の理想を追求するのが学校時代に経験すべきことではないかと思います。

2009/3/11 17:23
投稿者:ゆむるた

綺麗ですね。
腕時計、しかも婦人用と考えると
とっても小さな世界だと思いますが、
その中に詰め込まれて一つ一つの部品が
とっても綺麗だと感じます。
小さな部品を組み立てていく職人さん達も凄いなあと思いますが、
またこの小さな部品一つ一つを作っている職人さんもいるわけで、
一つの時計の中には沢山の技術とセンスが詰まっているのですよね。

職業訓練の記事、とっても面白く読みました。
私の分野ではTeilzeitの選択肢が殆どでしたが、
実際に理論と実践がかけ離れてしまう部分に狼狽したこともあります。
というか、現場は一企業としての経営があるので
学校のように理論だけでは回らないのが事実でした。
Ausbildung養成プロ、本当に当時はそんな人が身近に欲しかったです。
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by furtwangen | 2009-03-11 07:29 | 時計メカ
2009年 03月 10日

時計メカFHF59N

蚤の市で扱われている腕時計を見に、先週末はStuttgartへ行きました。およそ3ヶ月ぶりですので、もしかしたら何か新しい掘り出し物があるかと期待して。

前回の記事では「出来たら買う」なんて遠慮気味に書きましたが、それはウソで「今日は絶対になんか買ってやる!」という無意味な意気込みで蚤の市に乗り込みました。

で、結局買ったものは、

勤め先の会社の腕時計4つ!
勤め先の会社の腕時計のメカだけ4つ!
他社の腕時計のメカだけ3つ!

ずいぶん買っちまいましたが、メカだけになってしまった時計(ケースやベルトなし)というのは、はっきり言って使い用がないので、めちゃ安いのであります。なぜ、そんなものを買っちまうのか、自分でもよくわかりません(笑)。ただ好きなんですよ、メカが。
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見ているだけで、幸せになれる。
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これが「メカだけ」っていう状態です。Gehaeuse入れ物なし。もちろんベルトもない。でも綺麗だと思いませんか。時計としての機能だけなら、ここまで綺麗に仕上げる必要はないでしょう。ただの機械というのではなくて、もうかなり芸術的な美しさがありますでしょ。これ4オイロ!でもそれ以上の上品な美しさがある。
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ガラクタの中にあったんだけど、この金色の輪、これ見て、「これはいー!」って思った。全体の形も長細くて、ちょっと珍しい。まぁよくこの小さい中にすべてを収めたもんだと思います。
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これはご婦人用の腕時計のために作られたメカで、たぶんFHF 59Nという名前です。1955年頃の製造といいますから、どうですか、ご自分の生まれ年と比べて。最初は綺麗だったでしょうけど、いつの間にかケースやベルトを剥ぎ取られて、ガラクタの中で暮らしてどうなるかと思ったら、メカ好きの日本人に拾われて...。いま、ゼンマイを巻き上げると、僕の手元で盛んに動いています。やっぱり拾ってあげてよかった(笑)

FHF 59N
17 Steine, 18000A/h, ca1955, B8,46 x L22,56 x H3,5mm
Stoßsicherung
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by furtwangen | 2009-03-10 06:17 | 時計メカ
2009年 02月 10日

300円時計修理完了

冬の帰国の際に、東京国際フォーラム横であった骨董市で300円の腕時計を買ったという話を書きました。
今日までにその時計を修理しました。


修理前(購入時)。そこら中が錆びついていて、まったく動かずの状態。
(ガラスが割れていてメーカーの名前すら読み取れない)
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これが修理後の今の状態。
すっかりよくなりました。修理した点は、いつもの洗浄、組み立て以外に

1.Zapfenの曲がっていたKleinbodenradの交換(C!!)
2.新たなKleinbodenradの交換による軸方向遊びの調整
2.折れていたWinkelhebelfederの交換(C!!)
3.力の弱くなっているZugfederの交換(C!!)
4.ケースGehäuseの洗浄
5.購入時にはついていなかったFederstegeの取り付け
6.割れていたGlasの交換(C!!)
7.錆び錆びで瀕死状態だったZeiger(時針、分針)の錆び取り、表面磨き、青焼き
8.綺麗になった時針分針にLeuchtpasteの塗装(C!!)
9.新たに革ベルト
10.Kroneリュウズの取り付け(C!!)

このうち、(C!!)の付いている作業または部品取り寄せには同僚のクラウディオの絶大な支援がありました。つまり、この一連の作業には彼の非常な善意があって初めて出来たのであります。

例えば、3番のゼンマイの交換は、彼がUnruhの振幅がオリジナルの状態より小さいと見抜いて、交換を強く薦めてくれました。おかげで、この時計は見かけは修理後もパッとしませんが、中身は(メカは)新品の時のように活き活きと時を刻んでいます。
8番の蛍光塗料も、彼がやってくれました。彼は時計修理工として独立出来るくらいの修理道具、交換部品をわんさか持っていて、それでいろいろ助けてもらいました。(彼の家にはUhrmachertischが3つもあるというからスゴイ!!)

クラウディオ!Vielen Dank für Deine Beratung und Hilfe!!

今回の修理がここまでうまく行ったのは、もちろん彼のお陰が大ですが、もうひとつはこのメカのアイデンチチーを確認できて、その交換部品がどうにか手に入ったことです。得体の知れないWerkの場合は、壊れた部品はすべて手作りとなりますから、今回のようには速く直せません。

ちなみに修理経験豊富な彼が言っていました。
ぶっ壊れた状態での購入価格が300円でも、これだけの修理をしたら、最低150オイロは修理代としてもらうと。
まぁ、そうでしょうな。上の交換部品代と手間代を考えたらそのくらい行くでしょう。
つまり、このぶっ壊れ300円時計を誰かに頼んで修理する価値はほとんどないということです。
今回は仕事でなく、他人様のためでなく、自分の趣味として修理したからやれたようなものです。

この時計、スイスで生まれて、一度東京で死に体になりましたが、再びドイツで息を吹き返しました。そのことが僕には何より嬉しい!
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by furtwangen | 2009-02-10 07:46 | 時計メカ
2009年 01月 28日

時計のこと

今日は久しぶりに時計のことを書きます。
以前のブログでやたらと長く懐中時計の分解について書きました。
もうあれで、十分書き尽くしたと思っていたのですが、きょう、もうひとつ、普段あまり見ない部品、というか機構を見つけました。
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これはMinutenradという歯車を分解したところ。普通は、左にある歯車の部品と、真ん中の棒みたいな部品が一つの部品。こういう風に3つに分かれているのは、最近の時計にはないと思います。

右の部品の軸上には分針がきます。めんどくさい話は端折りますが、ともかく分針は時を刻むだけでなく、リュウズからくる力で時刻の調整をされることがあります。そんなわけで、方法は別にして、写真左の歯車と右側のMinutenrohrの間にFriktion(摩擦抵抗)がないといけないのです。最近のと比べると、上の写真のMinutenradは、そのFriktionの発生する場所、面が違います。

上のような機構の場合、そのFriktionsflächeが少し小さいと思います。真ん中の軸に叩き込まれた右のMinutenrohrが少しでもずれると、そのFriktionの力がガクッと落ちると思います。これが、欠点。利点は、時計のメカを完全に組み上げてから、そのMinutenrohrを叩き込める。その際に、Minutenradの逆側の軸受けが叩き込む際の反作用としての受け皿にならないから、軸受けが壊れない。まぁ、僕はあまり経験がないから、利点や欠点を列挙するほどのことは出来ないんだが、なんとなく今日、分解しながらそう思った。

しかしこの懐中時計、少し修理を始めたんだが、はっきり言って重症だ。ほとんどすべての部品に手を加えてやらないと動かない。UnruhwelleのZapfenも両方とも折れているし、こりゃ、なかなか大変だ。
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by furtwangen | 2009-01-28 07:37 | 時計メカ
2009年 01月 09日

300円の掘り出し物

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今日の景色。仕事場の窓から。
年末年始、ずいぶん更新をサボりましたが、まったく何もしてなかったわけではありません。AOLからの引越しに伴い、写真の移転をせっせせっせとしていました。この手動での作業はまだ終わっていませんが、今月末までにはどうにか終えたいと思っています。

年末、有楽町の国際フォーラム横で開かれた蚤の市に行きました。
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初めて行きました。思っていたよりも規模が大きくて、時計を専門に扱っている方が3人ほどおられました。しかし、どこも国産の時計を主に扱っていて、お値段もそれなりに張りまして、なかなか購入には至らず。

結局した買い物は、時計屋でない方のところで買った
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この時計。動かなくて、分針・時針が派手に錆びていて、ケースには緑青がふいていて、ベルトがなくて前面のガラスが壊れている腕時計(笑)。500円のところを300円にまけてもらいました。

300円ですから駄目もとです。なかのメカの部分がどうにか生きていれば、当たり。
しかし、Gehaeuseの錆び方が半端でなく、結局日本にいるときには裏蓋を開けられませんでした。針の錆び具合や蓋が開けられないところを見ると、なかに水が入ったりして、ひどいことになっているんだろうと、半ばあきらめぎみで、こちらに戻ってきました。

こっちに戻ってくれば、僕の部屋にはそれなりに蓋を開けるものがありますから、今日、万力に挟みながら開けてみました。
「おー、開く開く!」なんていいながら、蓋をぐるぐる回すと、
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ジャーン!出てきました、中のメカが。
錆び錆びのメカが出てくると思いきや、なかなか状態のいいメカのお出まし。
スイス製で、AS1187というまじめなメカです。調べてみると1950年代に作られたようで、ここまで素性がわかれば、300円かけて買った甲斐十分にありです。ルーペを使って見てもひどい錆びはないようですし、UnruhのZapfenも無事のようです。Gehäuseから取り外してみないと分かりませんが、ことによると、洗浄すれば直るかもしれません。Gehäuseの錆びはどうにか取れるでしょうし、ガラスは円いですから交換できそう。針をうまく取り外せて、新しい針に交換できればこの時計また使えそうです。

という風に、実際この時計が生き返るかどうか分かりませんが、そんなことを考えているだけでウキウキさせてくれる300円時計です。

0110:紅蓮さん
東京は人が多いですね。しかし、あの人ごみの中を歩くと、あー、日本に帰ってきたなぁ、と思う面もあります。300円時計、スイスで生まれて、バンドもなくなって、半世紀近く経って東京でゴミ同然に売られて、僕が買ったせいでまたドイツまで帰ってきた。そう思うとぜひ直してもう一度腕にはめて使ってみたい、この時計のためにも。
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by furtwangen | 2009-01-09 08:03 | 時計メカ
2008年 10月 20日

巻きゼンマイの話3/3

巻きゼンマイの話1/3
巻きゼンマイの話2/3
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前回の示したこの状態が、香箱のなかで巻きゼンマイが一回転した状態であり、かつMalteserkreuzが組み込まれた香箱にとっては、ゼンマイの巻上げのスタート地点になります。☆のせいで、これ以上は解けないわけです。
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☆を組み込んでからさらに巻き上げます。矢印の方向が巻き上げの方向。この際、☆は巻き上げ作業を邪魔しません。
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さらに巻き上げています。巻上げを邪魔しないように、☆の腕が、○の外周に沿った格好をしています。
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順調に巻き上げています。
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まもなく2回転目、Malteserkreuzが組み込まれてから1回転目になります。
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○の鼻が☆に食い込んでも大丈夫。☆がうまく避けてくれています。
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まもなく3回転目、Malteserkreuzが組み込まれてから2回転目。
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まもなく4回転目、Malteserkreuzが組み込まれてから3回転目。
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まもなく5回転目、Malteserkreuzが組み込まれてから4回転目。
さあ、ここからまたちょっと詳しく見ていきます。
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だんだん○の鼻が☆に食い込んできました。僕としては巻きゼンマイを矢印の方向にさらに巻き上げたいところです。
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し、しかし!☆の形状の「1つ違う」腕のせいで、巻上げが邪魔されています(矢印のところ)。本当は香箱の中のゼンマイはまだ巻き上げられる長さや空間があるのに、この☆のせいで、もうこれ以上巻き上げられないと...ひぇ~!
したがってこの状態が、Malteserkreuzをもった香箱にとって、フルに巻き上げられたVollaufzugな状態、前々回のグラフでいうと、黒字の5のポジション、赤字の4の位置に相当します。

Ablauf解けるときの過程は、今まで示した巻き上げの過程を遡ればいいです。

こうやって、ゼンマイの持っている全巻き数から前々回のグラフで示した赤字の領域だけを抽出、限定させることが出来るということです。

実物と口頭で説明すれば、もっと簡単に説明できるのですが、文字で説明するとなるとなかなか難儀です(笑)

ここまで読んでくださった方、分かってくださいましたか?

ちなみにこのMalteserkreuzの欠点は、ゼンマイの使用範囲を限定するために、時計のLaufzeitが短くなってしまいます。それを補うために、Raederwerkのギヤ比Uebersetzungが大きくなり、したがって、必要なトルクが大きくなる。つまり強いゼンマイを使わないといけないということです。ゼンマイはできるだけ、薄く長いほうがいいです。
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by furtwangen | 2008-10-20 00:25 | 時計メカ
2008年 10月 19日

巻きゼンマイの話2/3

巻きゼンマイの話1/3

どう説明したら分かりやすいのか、いろいろ考えましたが、この機構の組み立て順序を示すのが一番わかりやすいかと思うに至りました。
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これはまだMalteserkreuzという機構を取り付ける前の香箱です。
香箱自体はもう組み上がっています。つまり中にはすでに巻きゼンマイが入っているということです。
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これから組み込まれる部品、3つ。
いまここで勝手に名前をつけます。左の部品を「○」、右のを「☆」と致しましょう。(右上のはただのネジ)
注目してほしいのは、
1.○には1つだけ出っ張った「鼻」があること、それと中心にある穴が「四角」であること。
2.右の☆には5つの放射状の「腕」がありますが、その外周上の形状が「1つだけ違う」ということ。(矢印のところ)
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まず、○を組み込みます。はめ込まれるゼンマイ軸の部分は四角い軸になっていますから、組み込まれた後は○と軸がいつも一緒に回ります。
そして大事なこと。この状態は前回のグラフの原点の位置に相当するということです。なぜなら、まだぜんぜん巻き上げていないからです。
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さあ、巻き上げ始めました。巻き上げの方向は矢印の方向です。つまりゼンマイは矢印とは反対の方向に解けたくてしょうがないでいます。
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さらに巻き上げています。もうすでに半周以上しました。だんだん巻き上げている(僕の)手がマジになってきています。なぜなら、僕は解けたいゼンマイの力に抗して力を与え続けないといけないからです。
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もう330度くらい回転させました。僕は、もうかなり真剣です。昨日のグラフを見ても分かるように、最初の一回転目までは、巻き上げれば巻き上げるほど、僕に抗する力が増してくるからです。
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やっと、一回転させました。かなり強くなっているゼンマイの復元力に負けないように僕はもう必死です。ここで力尽きると、今までの苦労が水の泡、香箱はゼンマイの復元力で、どっかにぶっ飛んでいくかもしれません。
ここで初めて☆を組み込みます。☆を組み込んで、その中心をネジでとめるまで、巻き上げる力を抜いてはいけません。いまがこの組み立て作業で一番大変なとき、ゼンマイに抗する大きな力を維持しながら、もう一方の手で、小さな☆を掴んで、正しい位置にはめ込まなければいけないからです。
☆の矢印で示した放射状の「腕」が、○の「鼻」のすぐ上に来るように、お互いをかみ合わさせます。これが正しい位置関係です。
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やっとこさ、ネジで☆の中心をとめました。
これで、☆がどっかに飛んでいってしまうこともありません。
☆はネジでとめられましたが、回転はなんの摩擦もなく楽にできる状態です。
ここまでくれば、もう巻き上げる力を維持する必要はありません。○はゼンマイの復元力で本当は時計方向に回りたくてしょうがないのですが、☆の「1つだけ違う」腕の形状がそれを邪魔して、ゼンマイの復元を阻止してます(矢印のところ)。こういう状態をドイツ語でsperrenといいます。
前回のグラフでいきますと、ちょうど黒字の1のポジション、赤字の0の位置に相当します。

(もう一回続きます。)
巻きゼンマイの話3/3
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by furtwangen | 2008-10-19 21:30 | 時計メカ
2008年 10月 19日

巻きゼンマイの話1/3

Malteserkreuzについての質問をいただきましたので、今日はその機構について書きます。

まず、なんでこんな機構が必要になるのか、その必要性について。
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このグラフは香箱にある巻きゼンマイの力について描いたもので、
横軸はゼンマイ軸の巻き(上げ)数
縦軸は巻き上げに必要なそのときの力

を模式的に示したものです。

横軸の黒い数字は、このMalteserkreuzという機構がない場合の、ゼンマイ軸の巻上げ数。
グラフ中の赤い数字は、この機構を搭載した香箱の巻上げ数です。

今回は、「巻き上げのとき」について書きます。「Ablauf解けるとき」でなく、という意味です。巻き上げの過程は、グラフ中では左下から右上に移る過程です。(完全に巻き上げられた時計の状態は右上にあります。ゼンマイが解ける過程は、したがって右上から左下に向かう過程です。)

このグラフをみますと、巻き上げの初め、最初の一回転くらいまでと、5回転目以降で、巻き上げるのに必要な力が一定でなく、右上がりのグラフになっています。

時計には、できるだけ一定の力を供給したほうがいいので、この力の変化の激しい、最初と最後の範囲は使わないで、その間の比較的力の安定した範囲だけを使いたいわけです。(つまり赤で示した0から4の範囲)

それを可能にするのが、このMalteserkreuzという機構です。
この機構を使うことで、力の安定した回転範囲だけをチョイス出来るということです。

では次回は、そのメヒャニスムス機構について。

巻きゼンマイの話2/3
巻きゼンマイの話3/3
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by furtwangen | 2008-10-19 01:17 | 時計メカ