シュバルツバルトな毎日

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2006年 11月 30日

目が血走ってる!

今週も今日までの三日間、ずっと工場でマイスター作品の製作。時間割の関係で、水曜日までに一定の作業結果を出せないと、その週を無駄に過ごした感じ、後味の悪い一週間になってしまいます。ですので、この三日間はみんなまじめに働きます。特に先週、今週はみんな目が血走ってる(笑)ニコもアレックスもシュテファンもみんな真剣勝負って感じで、目が見開いちゃって、白目は充血気味、頬っぺたまで赤くなってる。いま、試験のために帰宅したらプレゼンテーション試験の準備と、すでにみんな随分疲れ気味。ただただ時間がないから気合でがんばっている。僕もたぶん負けないくらい血走って、怖い、クソまじめな顔で働いています。顔と体がビンビンに張っている感じです。
たとえば、工場には歯車の歯を切るマシーンが一台しかないけど、それをみんな使いたいわけです。そうしたら、当たり前だけど、自分が使いたいと思ったときに必ずしもその機械が空いているわけじゃない。そうしたらほかの出来ることをどんどんやるわけですけど、そのときに何をやろうかなぁ、なんてのん気に考えていると時間がもったいない。やれなくても常にやれる作業を2,3個頭に描いていないと時間のロス。材料や工具の調達、注文に時間がかかりそうだったら早めに手配して、できるだけ無駄な時間が出来ないように働きながら考える。この働くリズムが体に合ってくると、なんとも痛快なんだな、これが(笑)
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by furtwangen | 2006-11-30 08:41 | マイスター学校@Schwenningen
2006年 11月 27日

ビーラーさんとヤオホ先生

先週は総じていいことがふたつありました。一つは、資材室に常駐のビーラーさんと仲良くなったこと。彼が僕をどう思っているかは知らないけど、こちらから話しかけやすい、質問しやすい間柄になった。この学校は以前の学校よりも規模が大きいから、真鍮や鋼の材料を貰うのも(買うのも)、道具を注文するのも、みんな彼を通す。好きな先生のところに行って頼むっていう訳にはいかない。だから彼と親しくなれるかなれないかは、雲泥の差。道具はある程度工場に揃っているからいいとしても、ほしいMaterial材料はどうしても誰かから手に入れないといけないからね。彼はビールっ腹で話好き。そもそも資材室には彼一人しか常駐していないから、人が恋しんだろう。来れば、片言のドイツ語しか話せない東洋人の生徒だって話し相手になるというもの。

もう一つは、時計科主任(だと思う)のヤオホ先生が、君がこの学校を卒業したら日本に帰るのはなんだか惜しい、と言ってくれたこと。「このAusbildungが終わったら日本に帰るのか」って聞くから、「たぶんそうなる」と答えたら、「ueberlegenよく考えた方がいい」だって(笑)。もちろんそう言ってくれたこと自体うれしいことだけど、僕の、言葉の不自由な生徒という側面以外の何かを観てくれた、観てくれているんだなぁということの方がうれしかった。時計学校ったって所詮職訓ですから、学校の雰囲気はぜんぜん国際的じゃないんです。だからそんな世界に顔つきの違う日本人が突然舞い降りてこられても、みんなどう接していいか困っちゃうわけですよ。みんなが最初にすぐ分かることは僕のドイツ語が変だということだけです。だから、同じ程度に算数も出来なくて、理解力も思考力も工作能力もないと思うわけです。僕の性格や行動を、下手くそなドイツ語という眼鏡を通さないで観てもらうためには、ある程度の時間が必要なわけで、いま学校に入学して2ヶ月目、やっと少しそれ以外のなにか僕のいいところ、面白い部分に目を向け始めてくれた感じです。
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by furtwangen | 2006-11-27 05:03 | マイスター学校@Schwenningen
2006年 11月 25日

僕の街の大聖堂

来週あるはずだった面接試験が来月半ばに延期になりました。ですので今晩はブログを書きます。
建築様式に目覚めてから、僕のいる街Villingenの大聖堂がなかなかすばらしいと思うようになりました。以前、釣鐘の交換作業の記事をUpしましたが、その聖堂のことで、今日は内装を紹介します。
この大聖堂には少なくとも3つの様式が見て取れます。様式研究歴一ヶ月の僕だから3つしか区別できないのであって、詳しい方はもっと違った様式を見つけられると思います。それから、教会が複数の様式を持っていること自体は特別なことではないと思います。ただ、こんなに小さな町にある聖堂にも、違った様式がちゃんと残っているというのは、住んでいる者として嬉しいことです。

さて、まずRomanikロマネスク様式と思われる部分を見ていただきましよう。
1. これはほとんど間違いなくロマネスクでしょう。
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2. ガラス窓の形がRomanik
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3.
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4.これはもしかしたらFruehgotikかも。ロマネスク時代のFigurenはもっと面長な顔をしているから。でもまぁ全体的になんとなくRomanik
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5. このアーチも真ん中が少し尖がっているからGotikっぽい。けどもどうでしょ、全体としてRomanikじゃないかな。
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6. この教会は基本的にロマネスクの時代に建てられたそうです。後にGotikゴシックの時に(釣鐘の交換をした)Tuerme塔の部分が増築だか改築されました。ということで今度はGotik。
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7. この梁?の配置がいかにもGotik
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8. 写真7の部分拡大。よく見ると顔Maskaronがあるね。この唐草模様はGotik?
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9. お説教する台。これはもうロマネスクじゃないでしょう。Fruehgotik
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10. でも、この台に上がる階段の側面を飾るFigurenはなんとなくRomanikを想像させる。
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次の写真が分からない。
11. 多分に幾何学的なデザインがちょっとルネッサンス的な感じがするんだけど、似た唐草模様がGotikの祭壇の天井(写真8)にもあるでしょ。だから、もしかしたらGotikなのかなぁと思うけど、Gotikでこんなに派手に唐草模様が登場するのかなぁ。もしかしたらもっとずっと後のKlassizismusかも、この辺がStilkundeの難しいところ(笑)
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12. さて、気を取り直して今度は我がBarock!
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13. 写真12の部分拡大
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14. 写真12の部分拡大
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これはコテコテのBarockですね。隅から隅まで徹底的にBarock(笑)しかしですね、Stilkundeの場合は、「これは典型的Barockです」の一言で終わってはいけないのです。Barockと考えられる建築要素を指摘しないといけない。というわけで、我が無知も省みず、この数週間に勉強したBarockの特徴を以下に記します。
ちなみにドイツ語でStilkundeを勉強していると装飾に相当する言葉としてOrnamentsとかVerzierungという言葉が登場しますがSchmuckという言葉はほとんどつかいません、なぜだか知りませんが。
Ornaments im Barockzeitalter
- gewundene Saeulenねじれ柱
- korintische Kapitell柱頭
- ausladende Gesimse、柱頭の上にある張り出た屋根?梁?
- bewegte Akanthusranken bzw. -blaetter アーカンサスの蔓、葉
- Kartuschen(うー、どうにも訳せない!)
- Roll-, Knorpel u. Bandwerk これはKartuschenの周りの装飾として用いられてんじゃないかぁ
- geschwungene Voluten 渦巻き模様、かなり大きな渦巻きがあったりする s. Foto vom Baldachin in St. Peter
- Maskaron 顔、仮面 笑ったり、しかめっ面してたりする
- Bekroenug(Vasen, Blumen, Kreuz, Erdkugel)頭飾り(壷、花瓶に挿された花、十字架、天球儀)
- Engel
- Putten 子供の顔、ほっぺたを膨らました、pustendeな顔とか
- Muschel貝
いろいろあるでしょ。このほとんどをこの写真は含んでいます。だから笑ってしまうくらいのコテコテBarockなのです。
以上のすべてがBarock様式を決定つけるものではありません。たとえば、korintische Kapitellなんかはルネッサンスの時にもたくさん出て来るし、その前もあったでしょう。ただ、このKapitellを飾るAkanthusの装飾が随分大げさになってくる、それと角ばったGesimseが上に乗っているといかにもBarockって感じがする。

15. これをKartuscheというかな?これもBarockっぽい。
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by furtwangen | 2006-11-25 07:40 | マイスター学校@Schwenningen
2006年 11月 23日

もっと食べなきゃ

子供の頃、洋ナシというのは高級果実だったように思う。おととい買ったパック入り1500グラム、1.99オイロの洋ナシは当たり!ちょうどよく熟れていておいしい。今日はぶどうもおいしそうだったけど、まだそのナシがあるから、買うのを自制した。
今週は今日までの3日間、工場でフルに作業。体がビンビンするくらい疲れてる。だから今晩は自炊しないで、中華料理屋さんでチャーハンを食べた。外食するとちょっとお値段が張りますが、後片付けなんかの時間を節約できる、それからやっぱりプロが作っているからおいしい。それともう一ついいことは、日頃自分で作っているときは食べ物を残したくないから、いつもなんとなく量が少なめ。毎日それでやっていると、いつの間にかその量で満足してしまう体になってしまう。でも、今晩は大量にチャーハンが出てきて、こりゃ食べきれるかなぁ、と思ったけど結局全部食べられちゃう。つまり本当は毎日このくらいたくさん食べないといけないんだなぁ、と気づかせてくれる。工場で働く日が続くと疲れやすくなってしまう一つの原因は、情けない話だけど、食事の絶対量が少ないからだと最近思っている。なんでもいいから、もっとたーっくさん食べないといけない。
さて、今晩はこれから明日のReferatの準備。遅くとも2時には床につけるように、どうにかします。
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by furtwangen | 2006-11-23 05:06 | マイスター学校@Schwenningen
2006年 11月 21日

淡々と

今日は一日中工場で作業。要領よく動けて今日も満足。ただ疲れた。M3の内ネジをGewindebohrerタップで一気に16本切ったら、もう左腕がビンビン。
材料は「材料表」みたいな表に必要な材料と寸法を書き込んで、時計科の先生に見せて、サインを貰って、資材室に行き、その表にしたがって材料をもらいます。材料費は卒業時にまとめて払います。

今週はバロックのReferat、来週早々にマイスター試験委員会の試験官が学校に来て、一回目のFachgespraech口答試験。試験というよりマイスター作品について説明するプレゼンテーション。その後いろいろ質問されるのでしょう、よく知りませんが。
いずれにしろ時間的にかなりヤバイのでありまして、この2週間は今学期一回目の正念場であります。しかしまぁ、思い返してみればこういうピンチな状況というのは何も今回が初めてなわけでなし、6月の職人試験のときだってかなりピンチだったわけで、いまさら鼻息荒げても仕方がない、地味に淡々と準備をするだけであります。
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by furtwangen | 2006-11-21 04:56 | マイスター学校@Schwenningen
2006年 11月 18日

これ、バロック様式?

昨日は珍しく、気持ちよく工場を後に出来ました。おかげで気持ちの悪くない週末です。物を作っていると思うように作業が進まなかったりで、一日の作業が終わるときにはたいてい焦りと今畜生!という思いがするのですが、昨日はなんだかうまくいった。

先週からStilkundeの発表が始まって、フェリックスのGotikからスタート。「ゴシックの時代にはまだ時計が碌にないから、5分で発表終わりますよ」と言って始めた彼は結局40分も話し続けた(笑)確かにこの時代は例えば懐中時計はまだないといっていいくらいない。発表に使える写真の数もあまりないんです。でも時計の写真をビーマーで映し出すとそれついて延々と話す話す(笑)実は彼はただのおしゃべりヤローじゃなくて、フルトワンゲンの時計学校時代、アルバイトでそこの時計博物館の案内員をしていました。そんなわけで時計の説明は、話していることが本当かどうかはともかく、板に付いている。案内員に説明されながら博物館を回っている感じでした。

次のルネッサンスの発表、イマニュエルが担当ですけど、もう余り時間がなくなってしまって、その時代の建築の一般的な特徴に言及しただけで終わってしまいました。ちなみに、彼はフェリックスとは対照的でほとんどしゃべらない。ボソボソ低い声でなんか言ってる感じ。そうなると、フェリックスが黙っているわけがない。頼んでもないのにどんどん補足説明をしてくれちゃいます。そうなると、だんだんイマニュエルはビーマーの技術者と化す。時計の写真を映し出して、フェリックスがこちら側から説明と。
次回、つまり今週(!)は彼の発表の後半、時計の特徴についての話から始まります。ということは今週確実にバロックに入る、つまりこの週末に僕は(こんなブログを書いていないで)バロックのReferatの用意をしないといけないんです、本当は!

というわけど、僕はもう随分バロック時代の時計の写真を集めました。典型的なバロックって感じの時計もあれば、どこがバロックなのと言いたくなるような時計もある。2ヶ月前までバロックとゴシックの違いも分からなかった僕ですから、様式については超度素人!学校でも僕の予想はほとんどはずれます。でもいいんです。

さて、今日はフルトワンゲン時計博物館で撮った(特別に許可をもらった)二つの時計を紹介します。

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これはロココ様式の時計、典型的かは知らないけど、説明にそう書いてあったからロココであることは確実。両足や肩の丸っぽさ、全体のFormがロココって感じかなぁ。

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僕にはちょっと似ている様に見えるけど、これはたぶんバロックの時計だろうと思っています。いや、もしかしたら典型的バロックかも。どうでしょう。ロココにしては体格ががっちりしすぎているし、たとえば、Saeule柱が渦巻いてねじれているでしょ。これはバロックの典型でしょう。Saeuleの上にある角ばった梁の出っ張り具合もなんだかバロックって感じがする。この写真を発表の時に使おうと思っていますが、バロック様式の時計だと思いますか。

1119追記:
まさみ様
そう、バロックとロココは紛らわしいです。バロックだと思っても、経験がないのでなかなか自信がもてないです。でも今回はまさみさんのおかげで、自信を持てます。今朝見つけたバロックの写真。色は黒くて違うけど、渦巻き状の柱といい、屋根(?)の格好が、下の時計の雰囲気に似ていると思いました。

ローマ、Sankt PeterのBaldachin(Koenemannの「Barock」から)
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H.Suto様
Rocailleという単語、Stilkundeの本で確認しました。Rokokoの装飾なんですね、勉強になります。Basilika Weingartenとは何ですか。地名なのか教会堂なのか、それともオルガンなのか。

1120追記:
H.Suto様
はい、分かりました。今度行ってみます。
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by furtwangen | 2006-11-18 19:27 | マイスター学校@Schwenningen
2006年 11月 16日

ウランで動く時計

昨日は久しぶりに学校で思いっきり笑ってしまいました。
学校ではいま、みんなマイスター作品の設計や製作をしています。で、フィリップは錘で動く一ヶ月駆動(つまり一度錘を巻き上げると一ヶ月間動き続ける)のTischuhr置き時計を設計しています、いや、していました、昨日までは。どうしても理論的に無理ということで、断念、一ヶ月駆動を2週間駆動に変更して設計を続けています。

なぜ、こういうことになるかというと、これまたドイツ人の悪口になって申し訳ないけど、こっちの生徒さんは計算が大嫌いだから、設計も計算から始めるんじゃなくて、全体のイメージから始めるんです。先生も盛んに、Skizzen,Skizzenスケッチしろ!といいます。だから、みんなまず時計のGehaeuse入れ物、丸っぽいとかガラスで四角っぽい入れ物とか、そういうところからイメージを膨らませて、中に入る時計のメカニックの全体の格好を考えていくんです。だから、自分がマイスター作品で実現したい夢だけがどんどん先行して、実際にそんなことが可能なのかの理論が付いて来ない。でも、いつかは電卓を使って、歯車の計算や全体の大きさの寸法などを割り出さなきゃいけない。そのとき初めて、自分の抱いていた夢がまさに「夢」だった!、ということになりがちなんです。はっきりいって、動力が「錘」で「一ヶ月駆動」の「置き時計」なんて現実的にはほとんど不可能なんです。

ちょっと技術的な話
時計の駆動力として錘を使うことがあります。掛け時計で振り子の前後に錘が下がってたりしますね。錘に働く重力が時計の駆動力になるわけです。とても大雑把にいうと、錘の下がる空間を節約したければ、その分重い錘を使わないといけません。もし錘が重すぎてもっと軽い錘にしたいなら、その分、錘の下がる高さ、空間が必要になります。錘の重さと下がる長さは反比例的な関係にあります。置き時計のようにそもそもあまり高さのない時計に錘を採用すること自体、ちょっと厄介なこと。まして一ヶ月駆動といったら、もうどうしていいかわからないくらいの難題です。錘の代わりにぜんまいを使えば実現可能です。


さて、フィリップの話。
彼は心弾むスケッチ、構想の段階を終わり、いよいよ計算、具体化の段階に入りました。
計算の結果、彼の時計には17kgもの錘が必要なことが分かりました。錘だけで17キロもする置き時計なんてないでしょ(笑)そんなの例え動くとしても全く重すぎて非現実的。彼は手を頭にのっけて呆然であります。クラスのみんなは大笑い。「Siebzehn Kilo!17キロ!、それじゃもうTurmuhren塔時計だな!」
彼はこの17キロ錘問題をどうにか解決しなといけません、諦められないんですから。もうメカニック部分の再検討はほぼ不可能です。錘がもっと少なくて済む方向でメカニック部分を改良しても錘が下へ下がるだけの空間がもう彼の時計にはない。彼が出来る最後の抵抗は、できるだけ密度の高い物質を探し出すこと(笑)

ステファンがTabellenbuch機械便覧で探してあげています。錘としてよく使われる鉛は11.3という密度を持っていて、鉄7.8や銅8.9なんかよりもよっぽど重い。でも今は非常事態、もっと重い物質はないのか!

「あったよ、フィリップ! 19.1っていうのがある!」(シュテファン)
「あった? 何それ?」(希望の光をみたフィリップ)
「ウラン!」(シュテファン)
ウラン!」(目が点のフィリップ)
クラスみんな大爆笑!ついにウランに手を出すか!先生も天井見上げて大笑い!

ウランのポテンシャルエネルギーを使った置時計、
「えー、僕はより重い錘を実現するために材料としてウランを採用しました」なんて、試験面接のときに真顔で彼がプレゼンしてたら、試験官ビックリするだろうなぁと、考えただけでも滑稽です。

1116追記:
H.Suto様
「時計作りの感覚」が乏しいというご指摘は、まったくその通りで、僕も他人事ではありません。
ただ、その原因を現場の経験に求めるのは、ちょっと早急すぎる結論と思います。
実務経験が試験を受ける条件でなくなったといっても、クラスの半分の生徒は企業に席を置いています。フィリップもそんな一人で、もう3年くらいの実務経験があります。それでもこの感覚です。企業で時計職人として働いても、必ずしもいろいろな種類の時計に出会えるわけではありません。その企業が扱う数種類の時計を修理、調整するのが主な仕事になることが多いと思います。また、Uhrmacher(時計製造人)とは言っても、実務でゼロから時計を設計しているGeselleはまれだと思います。設計の仕事は基本的に大学工学部出のIngenieurの仕事です。
僕が感ずるに、この件に関しては、実務経験の有無が原因というよりは、物理数学的なセンスの欠如が原因と思います。
例えば、Drehmomentモーメントまたはトルク(この概念が感覚として捉えることが出来ていれば、フィリップのような問題は設計初期の段階で排除することが出来る)に関する問題を、Formelsammerungがあれば、こちらの生徒さんも解けます。しかし感覚として捉えられるまでに数学的なトレーニングを受けていないから公式集がなくなったり、数学の授業が終わると、たちまちトルクという概念が使い物にならなくなる。こういう感覚はいくら企業で実務経験を積んで、時計に油を注していても設計に携わらなければ養われないでしょう。

だから、僕はドイツの職訓の生徒さんに強く言いたいのです。しゃべってばかりいないで、紙とペンを持ってもっともっと数学を勉強しなさいと。そしてばかばかしいくらい同じような例題をもっとたくさん解きなさいと。数学は表面的な知識だけでは使い物にならない。先生が黒板の前で話したことが分かっただけでは使い物にならない。まずは数学的な基礎能力をもっと上げてから、実務経験の有無について言及するのが順序だと思います。
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by furtwangen | 2006-11-16 07:55 | マイスター学校@Schwenningen
2006年 11月 12日

僕のもう一つの機械式腕時計

時計を勉強しているのに、僕はたった二つしか機械式腕時計を持っていません。昨日Upしたクロノグラフ時計がその一つ。今日はもう一つの腕時計をお見せしたいです、あまりに対照的だからです。

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昨日お見せした時計は針が6本、曜日と日付を示すFenster窓が二つ、合計8つの表示がありますが、上の時計は針一本しかありません。自動巻き上げ機構もありませんから、機構的にこれ以上簡単な腕時計はないと思います。この針は一日に2回転しかしませんから、時針みたいなものです。文字盤のIndexは5分おきに配置されているので、読み取り精度は5分です。この写真では9時40分をほんのちょーっと過ぎた感じです。細かい時刻は目検に頼ることになります。2,3分おきにくる山手線を一本乗り過ごしてイライラしているような人には向いていません。

この時計にはETAという会社の2804-2というWerkが組み込まれています(ETA2801-2の場合もあるみたい)。自動巻き機構がないので、今ではそんなに広く採用されていないかもしれません。この時計を買った5年前にはなかったのですが、最近はETAの6498(通称UNITAS)という懐中時計のためのWerkを採用したこの時計もあります。直径が37ミリ近くある大きいWerkで、時計の裏蓋がガラスになっているので、裏面一杯にきれいなメカを楽しむことが出来ます。メカ好きにはそのUNITASをしょった時計の方をお薦めします(笑)。ただ高い、上の時計の倍くらいします。
ちなみに、ETAは今でも懐中時計用のWerkを供給している唯一の会社だと思います。

さっき、Tchiboで見つけた199オイロの腕時計(男性用、女性用とも同じ値段)にはETA2824-2(男性用)が組み込まれているようです。このWerkはもっとも普及しているWerkの一つで、メカ的には信用できますし、このWerkをしょって199オイロなら安いです。ただ、面(つら)が僕には気に入らなかった。せっかくいいWerkを内蔵しているんだからもうちょっといいGehaeuseと文字盤を付けてやればよかったのになぁと思いました。ちなみにこのETA2824-2は僕の職人試験のときのPruefungsstueck試験Werkでした。
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by furtwangen | 2006-11-12 05:31 | マイスター学校@Schwenningen
2006年 11月 11日

クロノグラフ時計購入

昨日のStilkundeの時間はロマネスクとルネッサンス、バロックの建築のビデオを観ました。ですので、発表はありませんでした。トップバッターでゴシック様式担当のフェリックスは話すことを原稿3枚びっちり用意していましたが、発表は今度。もう随分ゴシック辺りの様式が頭に入っているらしく、「これはSpaetgotikだ。遅くともFruehrenaissanceだな」とか、だれも頼んでいないのに、お喋りフェリックスはビデオを鑑賞している間、ひとりで評していました。

ところで、時計を買いました。
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お値段はいいませんが、正直こんな高い時計を買ったことがありません。マイスターの実技試験で必要なのです。実技試験一日目はクロノグラフ機構を備えた腕時計の分解、組み立て(具体的にこの時計で何をするかはまだ知りません)が課題です。そのために、受験者は自分でその時計を用意しないといけません。もうちょっと詳しくいうと、ETA社の7750というWerkを持った腕時計で、Gehaeuseもバンドもちゃんと備わっている時計を用意しなければいけません。
このETA7750というWerkを内蔵した時計は大概お値段が張ります。ですので、僕だけでなく、他の生徒さんも持っていませんでした。7人以上で共同購入、それと用途はマイスター試験のために使う(つまり販売用でなく)ことを条件に、この会社が格安で(といっても高いですが)売ってくれました。
昨日からこの腕時計を左腕にしています。重いですが、試験前に引き出しから出してくるより、いつも腕にして、この時計を観察している方がいいでしょう。いまはクラスみんながこの時計をはめています。

1111追記:
H.Suto様
そうです。それでもETAの機械式をしょっているだけでも立派なものです。
先週久しぶりに、Furtwangenのドイツ時計博物館に行きました。
Taschenuhrenのコーナーには、残念ながら本当に魅力のない時計ばかりが残っています。
その強盗は確か5分ほどですべてを成し遂げたはずで、その短い間に非常に的確に、俊敏に貴重な懐中時計だけを盗んでいった感じです。
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by furtwangen | 2006-11-11 00:35 | マイスター学校@Schwenningen
2006年 11月 09日

バロック担当

マイスター作品の設計に専念できればいいんだけど、まもなくバロックの発表がきます。
学校の工場での実習作業でも、別の課題が与えられるから、そういうマイスター作品以外のことで、どうもストレスがたまります。

ところでバロックですが、以前にも書きましたが僕たちはStilkunde様式の授業があります。僕らは様式が専門ではないので、各時代の例えば、宗教的、精神的な深い考察などしません。それからあまり細かい様式の細分化も求められません。ただ、あるアンチークの時計が与えられて、おおよその様式を推察できるようにしようというのがこの授業の目的です。

しかしそうはいっても様式についての知識がほとんどゼロの僕にとってはこの授業はやさしくありません。それもドイツ語で聞くんですから難しい。例えば、Voluteってなんだかご存知ですか。いかにも様式を勉強すると出てきそうな単語で、建物の柱と梁との間にあって、その梁を直接支える部分をKapitellというのですが、そこに渦巻状の模様があることがあります。その模様のことをVoluteというんです。いま、何を言いたいかというと、そういう建築装飾の特殊な用語がぞろぞろ出てきて、そういう授業をされるとなかなか内容を理解するのが難しいです。

この一ヶ月ちょっとで分からないながらも少し分かったことが2つあります。それは、
1.様式のお勉強は、Textを読んでいても駄目。実物なり写真を出来るだけたくさん観る。目を肥やさないといけない。
2.先生はいろいろ難しいことを言っているみたいだけど、要は次の建築部分にのみ言及している。

窓枠(形、装飾)
柱(形状、上下の装飾)

屋根(形、張り出し方)
その建物の全体的な印象(角ばってる、丸っぽい、horizontalな建物)

つまり僕達の様式のお勉強はどこまでもVisuellなこと。精神論には言及していない。
そこまでわかれば、あとは写真や街の建物を観ながら、いろいろ推察してみればいいんだ。

ところで、そうバロックのこと。僕はバロックのReferat発表を担当することになっっている。たぶん明日の授業から発表が始まります。そして、たぶんEpoche時代順に発表すると思います。ということで、一番バッターはGotik担当のフェリックス!次がルネッサンス担当のイマニュエル。そしてその次がBarockの僕と。Gotikの前のByzanzビザンチン様式やRomanikロマネスク様式を担当するやつは多分いない。明日発表が始まれば、ルネッサンスのイマニュエルまでは確実に来ると思うけど、たぶん僕の番になる前に授業が終わると踏んでいる。(だから暢気にこのブログをいま書いている)、もし僕の番になったら、来週にしてくれと頼むことにしている。なぜなら、まだぜんぜん準備が出来ていない(笑)。いまからまじめに準備をするよりも、断る練習をしたほうがいい(笑)。これは半分冗談だけど、でもフェリックスを観ていると、そう思う。彼は悪いけど、あまり器用でない。でも今日までみんなと一緒にマイスター学校に来られたのは、彼の話術がすごいから。特に「出来ない相談」のプロ!自分はいかに恵まれた環境でなかったか、風邪とか、パソコンが動かなかったとか、それから時間がなかった、そういう話術はドイツで生きていくうえでは必要だと、彼をみて思う。だからまじめに発表するのもいいけど、断れない状況で断る!そしてだれの感情も傷つけることなく、穏やかに時間を流す。そういう話術も、重要だ。

1108追記:
H.Suto様
そうなんだと思います。Gotik以前にも様式はありますが、時計がなかったんでしょう。
僕たちが使っているLehrtextは時計の様式専門の本です。(こういう本は日本にはないでしょうね)
インボリュート歯車の話、少し感動的です。確かにこの歯形、またはインボリュート曲線は渦巻いていますもんね。いやー、感動です。ちなみにドイツ語ではEvolvente Verzahnungインボリュート型噛み合せ(?)。
ArkanthusrankeとかArkanthusblaetterという言葉が出てきます。(よくご存知ですね)どちらもKapitellの装飾に良く使われるようです。Taschenuhrenにも、模様として使われているようです。ところで、Arkanthusという植物はなにか宗教的に意味があるのでしょうか。なんで、Arkanthusがよくモチーフとして用いられたのでしょうか。
それから、砥石に(Arkanthusという綴りでなく)Arkansas-Schleifsteinというのがあります。白色でfeinな表面を持っている石です。この石の名前と何か関係があるのでしょうか。

1109追記:
H.Suto様
マイスター学校では日時計について勉強しません。職業訓練学校で最初に勉強しました。
Primitive Uhrenとかいったかもしれませんが、水時計や蝋燭の時計、砂時計などの原始的な時計の中で日時計を勉強しました。ちなみに、2年後輩の生徒さんはもう日時計を勉強しないようです。
Gnomonという単語はあまりつかいません。Schattenwerferと普通はいいます。
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by furtwangen | 2006-11-09 06:17 | マイスター学校@Schwenningen