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2009年 03月 30日

夏時間へ

昨日の土曜日は時計装飾関係の国際見本市が開かれているバーゼルへ行きました。
会社の同僚3人と行きました。一応建前は、産業機械の偵察でしたが、せっかくですから、時計会社のブースもみてきました。

たまたま立ち寄ったある時計会社のブースで、時計学校時代の同僚ビクトアと偶然会って、「おー、久しぶりー!」ってなもんで少し話をしました。彼はその会社に時計職人として職を得て、今の仕事に満足していると。そして去年、おとうさんになったということで、こちらも嬉しくなりました。この見本市の期間中は、そのブースで訪れたお客さんにコーヒーをサービスする役割を積極的に引き受けたそうです。元気そうで、お互い時計職人として仕事を得、このバーゼルの見本市で会えるのはなかなかよいことです。

それから、僕がこちらの時計学校を選ぶときにいろいろ助言してくださった独立時計師にも再会しました。まだ、顔を覚えていてくれて、10分くらい話や彼の時計を見せてもらいました。彼は筋金入りの本当の独立時計製作者です。その彼と年に一回でもそうやってメッセで話をする機会を持てていることは、僕にとってはとても大きな精神的な財産です。「いつでも工房に遊びに来なさい」といってくださいました。

夕食は近くの(ドイツ領にある)レストランで取りましたが、そこにはプチ上司クリスティアンのかつてのマイスター準備学校での同僚も2人来ました。会社の同僚も含めて全部で6人、全員時計製作マイスターの資格を持った人たちで、そういういい方は変ですが、僕もその資格を取っておいてよかったと、そういうとき思います。そうでないと、僕一人が彼らの話についていけませんからね。この地域にはSchwenningenにしかマイスター準備学校がありません。その関係でみな同じ学校、先生の思い出を共有しています。その後、各々別々の人生を歩んでも、みんな時計会社で働いて、生きていられるのですから、幸せなことです。

そんでもって、帰宅したのが夜中の1時半。疲れてましたので早くベットに入りたいな、と。着替えてメールなどをチェックしていると、たちまち2時になり、「おぉ、もう2時か」なんて思いましたが、それもつかの間、見ている電波時計の針が、急に駆け足で動き出して、あっという間に3時!!「マジッ!」もう目が点ですよ。時計はまた、何食わぬ顔でいつも通り静かに動いています。ほんの数分前まで2時だったのにもう3時、一日の疲れが倍増です。というわけで、この貴重な日曜日の休日が夏時間への移行に伴い、いつもより1時間少ない23時間。この少ない時間で土曜までの仕事の疲れを癒し、明日からの仕事への英気を養わなければいけないのですから、まったくもって気の利かない日曜日です。

0330:どくとるくまさん
僕は、夏時間になった日の朝8時にホテルを出て、空港へ向かう予定が、いつの間にか9時になっていて、慌ててホテルを後にしたのを思い出しました。部屋のつけたテレビの時刻表示(9時)と、自分の目覚まし時計の時刻(8時)が違っていて、一瞬どっちが正しいのか、何が起きたのか分かりまんでしたが、夏時間と分かったときには、もう本当にびっくりしました。

まさみさん
間違って一時間早く来る生徒はいないって、おもしろいですね。
不思議な感じは僕もそう思います。たった一時間ですけどね。露骨に短い一日だなぁと感じます。
2時間29セントの通話料金はこの時間の変り目を挟んで電話しているとき、どうなるんでしょうね。損得するのかな?
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by furtwangen | 2009-03-30 08:38 | 黒い森の小さな町
2009年 03月 24日

ときにはミスも起きるわぃ

今日は、会社で僕のかなり大きなミスが明らかになりまして、なんとなく気の重い一日でありました。

しかし、僕もかなり人間がふてぶてしくなったようで、こういうとき、絶対に謝らないのです。自分でも悪いとは思うのですが、もう本能的に謝らない。たぶんこちらの人と接して、こういう嫌な性格になったのだと思います。

こっちの人って、その責がその人にあっても、何だかんだ言って、結局あやまらない人が多い。自分の過ちを他人に指摘されて、すぐに「ごめんしゃい!」って謝る人ってほとんどいない。特に仕事のとき。

なんだか素直に謝ると、自分から土俵を割っているような感じがして。がっぷりになって、どんなに土俵際まで寄られても、それでも謝らない(笑)。顔を真っ赤にして、寄られても寄られても、土俵際を割らないで(謝らないで)残っちゃう。今日はそんな一日でした。

まぁ、

ここからは愚痴ですが、

今日のミスは大きいけれども、確率論的にいうと、入社してからいままで大小いろんな決断をしてきて、そのうち0.1%の確率で「過ち」が起きるとしても、正直言って、もうちょっとミスがあってもいいように思うのですよ。今回のは確かに痛いけれど、ミスの発生率としては、もっと何かが起きてもいい。特に僕だけじゃなくて、他の同僚も、ほとんど経験のないことをやっているんだから、そりゃ、ミスのひとつや二つは起きますよ。(これが、僕がミスったときに、謝らないで反論する時の定番の内容!)

こういうマズイときこそ、ひるまずコツコツ働くのが大事なのです。
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by furtwangen | 2009-03-24 07:45 | 黒い森の小さな町
2009年 03月 21日

健康維持のために

今週発行された時計・装飾関係の専門誌に僕の後ろ姿が載りました。そしたら、それを見た時計学校時代の先生からさっそくメールを貰って、「載っているの見ましたよ、元気にしてますか」と。ありがたいことです。以前から学校に遊びに来るようにいわれていまして、いつか週末を利用して遊びに行かないといけないのであります。

さて、この2日間夕方うちでやっていたことは、食事のこと。こちらにいると肉っぽいものが多いので、健康に気をつけなければと最近思っているのであります。

前回の帰国時に栄養の本を買いました。それをもとにまずできること、ということで、「1日に必要なエネルギー量」の計算をしてみました。この食事・栄養の分野は僕にはまったく未開の地で、計算しみるといろいろ具体的にわかって面白い。

先ずは現状把握ということで、BMI(ボディ・マス・インデックス)の算出。
必要なのは身長H(m)と体重G(kg)。僕は1.73mの65.2kgですから、

BMIはG/(HxH)で21.78

このBMIが20から24の間だと病気になるリスクが低いそうで、その中間値ということで22が理想的だそうです。僕の場合はまぁまぁでしょう、21.78というのは。

ちなみに僕、健康管理のために今週Lidlでデジタル体重計を買いました!それで初めて、学生時代よりも2キロほど体重が増えていることがわかりました。

話を続けますと、BMIが22で理想的。そのときの体重を標準体重というそうです。それを逆算しみますと

僕の標準体重はHxHx22で65.84kg

これが僕の理想的な体重ということです。その理想的な体重になるためにはあと600gくらい体重が増えても(というか増えたほうが)いいということです。

この本には、次に「目標体重」という概念が出てきます。自分が望む体重で、別に難しい計算式はありません。ということで、僕は自分の目標体重を、理想的な体重である標準体重に設定します。つまり

僕がこれから目指す目標体重は=標準体重65.84kg

この体重を得て、維持するためには1日にどのくらいのエネルギーを摂取すべきなのか、という方に話が進みます。

そのために「基礎代謝量」を算出します。基礎代謝量とは「体温を一定に保ったり、心臓を拍動させたり、呼吸運動を行ったり、消化管の消化・吸収といった、生命活動を維持するために必要なエネルギー」(本文より抜粋)で「食後十数時間経過したときに20度の室温のなか、安静に横たわっている状態で消費されるエネルギー量」(同抜粋)だそうです。生物学的に生きているのに必要な最低限のエネルギーということでしょう。

これを算出するためには「日本人の基礎代謝基準値」が必要でありまして、僕の場合これが22.3。これを目標体重にかけて

僕の目標体重に対する基礎代謝量=目標体重(kg)x 22.3で1468kcal!!

こういうのを算出できると、ちょっと感動してしまいます。僕は最低これだけのエネルギーを1日に摂取していかないと、生物学的に生命を維持できないということですものね。

ちなみに1kcalとは「1kgの水の温度を1度高めるのに必要なエネルギー」ですから、計算しみますと、僕の目標体重65.8kgに相当する水の温度を22.3度上げるのと同じだけのエネルギーが、僕の生命維持のためには必要だということです。すばらしい発見です。感動的です。

さて、感動的ではありますが、僕はベットに横たわって生命だけを維持していればいい訳ではありませんで、少しは身体的な活動もします。だんだん眠くなってきたので、話を端折りますが、上で算出した基礎代謝量に「身体活動レベル」をかけると「1日に必要なエネルギー量」が算出されます。僕の場合、その活動レベルが1.5のようなので、

僕が一日に摂取すべきエネルギー量=基礎代謝量(kcal)x1.5で2202kcal!!

このエネルギー量を知りたかったのです。これで1日にどれだけの食事を取ればよいのか、栄養のバランスはさておいて、その「外枠」が出来たようなものです。これ以下だとエネルギー不足で疲れ気味になるでしょうし、これ以上だと肥満、ひいてはメタボになる確率が高まるのでしょう。

ただ、ちょっと注意書きを付記すると、
1.最後の出てきた「身体活動レベル」というのがどうも曖昧で、この数値を誤ると算出される必要エネルギー量もかなり変わる。
2.この計算過程では、身長と体重という「外見」だけが考慮されていて、体脂肪率は考慮されていない。
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by furtwangen | 2009-03-21 10:20 | 黒い森の小さな町
2009年 03月 18日

13時出勤

いまは、水曜日の午前11時半。まだ家にいるんです。

「明日夕方7時頃に訪問者Besucherがきます」と、きのう午後にプチ上司のクリスチャンから知らされました。なんでも50人前後のお客さんだか見学者が来るそうです。それで、たぶんその人たちは作業場へ見学に来ますから、そのとき誰もいないのはいかにも具合が悪い、と。つきましては、あなたはそのとき作業着をきて、その作業場で働いている振りをしていてくださいと。

そのBesucher達が来社してから、どんな風になるかわからないけど、たぶん夜の9時か、10時頃まで作業場にいてもらうことになる、と。

だから、だから僕はまだ家にいるのです(笑)。ドイツっていい国です。
日本だったら夜9時まで働いている人なんてザラにいると思うし、まぁ、「明日は夜遅くまでがんばってください」の一声をかけてくれれば、いいところでしょう。

こちらは一日8時間労働の原則がありますから、僕はきょう13時出勤です。いい国でしょ。それもクリスチャンは丁寧ですよ。「明日はそういうわけで、仕事時間を夕方にずらしてもらいたいんですが、いいですか、お願いします。」です。

お陰で、予想外の空き時間が午前中にできてしまい、まぁ、しょうがないから9時半まで寝坊(これ案外大事)をして、いまブログを書いている次第。あと40分後に出勤します。
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by furtwangen | 2009-03-18 19:47 | 黒い森の小さな町
2009年 03月 18日

久しぶりの日本語

更新が滞りぎみです。
毎晩帰宅して情けない夕食をとると、すごい眠気に襲われて、もうブログ更新どころではなくなってしまいます。シャワー浴びるのがやっと。

いま仕事は旋盤作業がほとんどで、1mm前後の大きさのものを100分の1mmの精度で作る作業が主です。物が小さいので、いつも同じ姿勢で、ほとんど体の動きがない。それから小さいものですから、ピンセットで確実に掴まないと、どっかに跳んでいってしまいます。また図面にある要求精度(って僕が要求しているんだけど(笑))を満たすのにも根気がいります。

ってなわけで、かなり根を詰めての作業なので、家に帰って来るとぐわーっと体も神経も、まるでバカになった輪ゴムのように際限なく伸び切ってしまうのであります。

参加しているブログランキングで順位がだんだん、だ~んだん落ちてきているのが重たいまぶたの下から見えてはいるのですが、如何せんこの消耗ぶりでは、どうしようもありません。

先週末は、ブログを通してお知り合いになったどくとるくまさんがわざわざ僕の町まで来て下さいまして、お会いしました。久しぶりに日本語で話が出来て、おまけにこの森に住んでおられるほかの日本の方の話も伺えて(黒い森の日本人生息分布図なんて出来そう)、お陰さまでとても楽しい時間を過ごさせていただきました。

それにしてもなんだか不思議な感じがします。日頃日本語をまったく使わない日常の景色の中に、初めて自分以外の日本人が飛び込んできたのであります。いつも買い物をするLidlの前でも、街中にある市庁舎の前を歩くときも、日本語を話しながら、自分の町の同じ景色を共有できるなんて、まったく夢のようで頭がクルクルしてしまいました。

ところで、久しぶりに日本語を話すと、面白いもので口から喉にかけて、ちょっとした違和感が残ります。使う口の筋肉が違うからかもしれません。または久しぶりの日本語ってことで、話している絶対量がドイツ語のときよりも多いからか。それからドイツ語のとき、僕は1オクターブ高いような声で話していると思います。あまりドスの効いた低音で話している記憶はありません。しかし、日本語のときは地声で一番安定している低音がメインで、それに時々声がクルッと裏返る(笑)。そんなようなことで、日本語を話した後というのは、いつも口から喉にかけて何か違うのであります。
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by furtwangen | 2009-03-18 08:12 | 黒い森の小さな町
2009年 03月 15日

悪い作業効率

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先週くらいから、Lidlにイチゴが並ぶようになって、写真のように大きいのが売られています。500gパックで確か1,7オイロぐらいだったと思います。味はいまいちです。きゅうりだと思って食べれば甘いです。

さて、先ず書かなければいけないことは、今月の4日頃から僕の側でメールの送信に障害が出ていたということです。送信できないのなら、そう断りのメールが戻ってくればいいのに、そういうアクションがなかったので、てっきり送信されているものと思っていました。一昨日いただいたあるメールで、その送信障害に気づきました。「メールを送ったのに返事が来ない」とお思いの方がおられましたら、こちらの送信障害のせいです。後ほど、お返事を差し上げます。

今週は、時計メカの記事を3つもアップしましたが、毎晩仕事の疲れで、ついに一昨日からブログ更新できず。今週は手仕事が主で、それも予定外の予定でしたので、なおのこと疲れました。

主に旋盤仕事とねじ切り作業。ねじ切りはM1など全部で6つ。たった6つですが、そのうち4つが深さが2ミリもないSackbohrungへのねじ切りで、「絶対失敗しちゃいけない」でしたから、予行練習も含めて、考えうるすべての準備をしてのねじ切りとなりました。

会社には作業場、工場が全部で4つあるのですが、そのうち僕が頻繁に使うのが2つ。その2つの部屋が、まったくバカっぽいのでありますが、めちゃくちゃ離れているのであります。長~い建物の上の端と下の逆端で、その2つを行き来するのに、歩く歩く。おかげで毎日平均一万歩以上歩きましたが、まったく作業効率が悪いといったらありゃしない。最近のリストラで、いろいろありましたから、これから段々に効率のいい方向に部屋換えをしていくでしょう。
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by furtwangen | 2009-03-15 09:07 | 黒い森の小さな町
2009年 03月 12日

時計メカTissot709-1

今日は突然雪が猛烈に降ったと思うと、パタッとやむ。そういうのが何度かありました。

また懲りずに時計の写真です。もう今回でこのメカの話はひとまずお仕舞いにしますので、どうぞがんばって最後まで観ていってください。せっかく買ったんで、みんなに見ていただきたいわけですよ(笑)
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今日のは円形のWerkメカです。相変わらず大きな歯車が2つあって、ルビーの石が5つ見えています。これらの配置は、昔からあるひとつの定番です。というか、こんなに小さい円形(直径15mm)の中にこれらすべての要素を配置しようと思うと、もうそんなにいろいろな可能性はないのであります。Werkの形は違っても、みな同じような配置になってしまいます。その典型のひとつといっていいでしょう。
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このメカはTissotが自分で作ったメカで709-1という名前がついています。別にどこがすごいっていうところはありませんが、全体として綺麗なメカだと思います。特に上等なメカでなくて、大量に作られたと思います。
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ちょっと目に付くのが、この右の歯車。内側にある2つの小さな平ネジで、歯車を押さえています。機能的には1つのネジで押さえるよりもいいです。
ん?...よく見ると...2つのネジの位置が歯車円に対して少し偏心した位置にありますね。少しリュウズの方に寄っている。これは参考になります。ゼンマイを巻き上げるとき、この歯車にどういう力が作用するか考えてみると、確かにこの2つのネジの配置は理にかなっている。いま気付いた(笑)

ちなみに文字盤は
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四角です。これもご婦人用の時計。

これも4オイロでした。テンプの振幅がかなり小さくて「おぃ、大丈夫か、しっかりしろ!」って声をかけたくなってしまいます。体調が万全ではないようで、いつか分解洗浄してやらないといけません。

Tissot 709-1:
Handaufzug 17Steine 19800A/h Gangreserve 41h
1960-1971 D15,3mm H3,2mm
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by furtwangen | 2009-03-12 07:30 | 時計メカ
2009年 03月 11日

時計メカAS1012

昨日の続きですが、昨日とは違うメカです。
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これもご婦人用の腕時計のためのメカです。AS1012という名前です。1960年頃の製作で、これは大量に生産されたと思われます。
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やはりUnruhがきれい。大きさは直径約6mm。真ん中に大きなルビーの石がありますが、その石の姿(Incabloc)を見ると、この時計がそんなに古い時計でないことがわかります。
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写真右のほうにあるネジ頭(スリットなし)がSenkerによってえぐられてます。Auswuchtenバランス取りがちゃんと行われたということです。写真左下にAS1012と刻まれているのがわかりますか。これがこのメカのWerk番号です。こういうちょっと隠れたところに番号が刻まれていることがよくあります。

このメカを使って「腕時計」という商品にして売るのは、また別の会社です。今回のは、EBELという会社の腕時計の中に入っていたメカです。
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写真の歯車にそう刻まれていますでしょ。EBELって。一瞬この会社が作ったメカかと思いますが、そうじゃない。メカを作ったのはあくまでもAS。
歯車のところにある2つの大きなネジ頭は綺麗かなぁ?ちょっとダレているようにも思うんだが、まぁ、ご婦人用のメカということで、丸みのあるネジ頭のほうがいいのかなぁ?
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4つのルビーの軸受。左下のは、ちょっと手が込んでいますね。機能的にはこんなことをしなくても大丈夫ですが、あるんなら、それはそれでいい。
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こんなに綺麗なメカがガラクタの中に埋もれていたんですから、これからもよくよく注意して探してあげないといけないです(笑)。ちなみに、このメカは2オイロでした。

AS1012:
Handaufzug B13 x L15,2 x H3,6mm 18000A/h Gangreserve 44h ca.1960 17Steine Incabloc Stoßsicherung

0311:ゆむるたさん
コメントありがとうございます。
そうです。仰るとおりで、腕時計の中は小さな空間ですが、無限の美しい世界が広がります。そして、これまた仰る通り、部品を作るのが大変なのです。わかっていただけて嬉しいです。

企業ではどうしても利益追求型のもの作りになりますね。それしか知らないと、理想の姿(部品、製作方法)を知らないで育つ。利益ではなく、本来の理想を追求するのが学校時代に経験すべきことではないかと思います。

2009/3/11 17:23
投稿者:ゆむるた

綺麗ですね。
腕時計、しかも婦人用と考えると
とっても小さな世界だと思いますが、
その中に詰め込まれて一つ一つの部品が
とっても綺麗だと感じます。
小さな部品を組み立てていく職人さん達も凄いなあと思いますが、
またこの小さな部品一つ一つを作っている職人さんもいるわけで、
一つの時計の中には沢山の技術とセンスが詰まっているのですよね。

職業訓練の記事、とっても面白く読みました。
私の分野ではTeilzeitの選択肢が殆どでしたが、
実際に理論と実践がかけ離れてしまう部分に狼狽したこともあります。
というか、現場は一企業としての経営があるので
学校のように理論だけでは回らないのが事実でした。
Ausbildung養成プロ、本当に当時はそんな人が身近に欲しかったです。
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by furtwangen | 2009-03-11 07:29 | 時計メカ
2009年 03月 10日

時計メカFHF59N

蚤の市で扱われている腕時計を見に、先週末はStuttgartへ行きました。およそ3ヶ月ぶりですので、もしかしたら何か新しい掘り出し物があるかと期待して。

前回の記事では「出来たら買う」なんて遠慮気味に書きましたが、それはウソで「今日は絶対になんか買ってやる!」という無意味な意気込みで蚤の市に乗り込みました。

で、結局買ったものは、

勤め先の会社の腕時計4つ!
勤め先の会社の腕時計のメカだけ4つ!
他社の腕時計のメカだけ3つ!

ずいぶん買っちまいましたが、メカだけになってしまった時計(ケースやベルトなし)というのは、はっきり言って使い用がないので、めちゃ安いのであります。なぜ、そんなものを買っちまうのか、自分でもよくわかりません(笑)。ただ好きなんですよ、メカが。
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見ているだけで、幸せになれる。
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これが「メカだけ」っていう状態です。Gehaeuse入れ物なし。もちろんベルトもない。でも綺麗だと思いませんか。時計としての機能だけなら、ここまで綺麗に仕上げる必要はないでしょう。ただの機械というのではなくて、もうかなり芸術的な美しさがありますでしょ。これ4オイロ!でもそれ以上の上品な美しさがある。
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ガラクタの中にあったんだけど、この金色の輪、これ見て、「これはいー!」って思った。全体の形も長細くて、ちょっと珍しい。まぁよくこの小さい中にすべてを収めたもんだと思います。
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これはご婦人用の腕時計のために作られたメカで、たぶんFHF 59Nという名前です。1955年頃の製造といいますから、どうですか、ご自分の生まれ年と比べて。最初は綺麗だったでしょうけど、いつの間にかケースやベルトを剥ぎ取られて、ガラクタの中で暮らしてどうなるかと思ったら、メカ好きの日本人に拾われて...。いま、ゼンマイを巻き上げると、僕の手元で盛んに動いています。やっぱり拾ってあげてよかった(笑)

FHF 59N
17 Steine, 18000A/h, ca1955, B8,46 x L22,56 x H3,5mm
Stoßsicherung
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by furtwangen | 2009-03-10 06:17 | 時計メカ
2009年 03月 08日

職業訓練2

昨日は久しぶりにStuttgartへ行ってきました。お目当ては蚤の市で、機械式の腕時計を見ること、出来れば買うこと。これについてはまた後で書こうかな。

前回の職訓の話で、VollzeitschuleとTeilzeitschuleの話。

僕は時計職人養成に限って言えば、Vollzeitschuleの方がいいと思う。
まずいくつか断っておくこと、

1.僕は理論も実技もひとつの学校で学ぶVollzeitschuleで養成されました。だからTeilzeitschuleでの経験はありません。Teilzeitについては今の会社にいる2人のアツビを見て思いをめぐらせるだけです。

2.会社での実技訓練といっても会社によって千差万別でしょう。実践の最前線で働かされることもあるかもしれないし、ほとんど学校と変わりない状態の会社もあるかもしれない。

以上2つを踏まえて僕の経験からいうと、まず、職業訓練生には彼らを養成するプロが必要であるということ。職訓を始める年齢は17、18歳くらいが普通で、こちらのGymnasiumの生徒さんや日本の大学受験を控えた生徒さんのように、あるひとつの難関に向かって自らを切磋琢磨した経験がほとんどないような人たち。つまり何か難しい、厄介な問題が目の前に現れても、自分で考え、解決する能力というか気力のない人が多い。体が疲れていて、もう駄目っぽいときでも「もうちょっとがんばれ!」って自分にムチ打てる人が少ない。すぐに「駄目だー!」っと言って放り投げちゃう。

そういう人たちに会社で実践経験の機会が与えられるわけがない。ネジの締め方、油の差し方を知らない人に、実践もなにもない。先ずは、その締め方、油の適量などの基本技術を覚えてもらわないと。ちょうど学校で習うように。つまり会社での実務経験と、それが本当に実践的であったかは別問題。

そういう若い彼らに必要なのは実践の場ではなくて、養成のプロに出会うこと。実践の場は、3年後に時計学校が終ってから始めても少しも遅すぎない。
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昨日の帰りの電車

例えば、時計技術の養成過程では、必ずテンプ軸の削りだしを練習します。これは旋盤を使った手作業で、こんにちの時計製造の実際を考えると、まったく非現実的で、非効率的な作業です。(修理の場合は今でもありえます。)だから実践至上主義の人なら、こんな手作業はしない方がいいと思うでしょう。それよりこの軸を削りだすNC旋盤のプログラミング方法を覚えたほうが数万倍「実践的」です。

しかし、それでもこの非効率的な旋盤作業を実習します。なぜなら、この作業を通して、例えば直径0.1mmのレベルの軸を削りだすことがどれほど際どく厄介なのかとか、直径が百分の1mm大きすぎる嵌めあいがどのくらいきつ過ぎちゃうものなのか、それからこの軸って小さいくせに案外複雑な形状をしていまして、この実習を通して、その複雑な形状が頭に叩き込まれるわけです。こういう経験が、将来のものつくりや時計修理の際に役立つわけ。

しかし、こういう経験は企業、会社でないと出来ないのか。別に会社でなくとも学校でも何の差し支えもないはずです。別にアツビが削りだした軸を会社が製品として使うわけではないんですから。

僕の学んだフルトワンゲンの時計学校には学年ごとに先生が固定されておりまして、テンプの軸削りだしを学ぶ3学年の先生は、毎年3年生を担当しています。そうなると、子供たちがどの作業で、どんな困難に出くわすか十分に知り尽くしている。そしてそのために、作業場での教授法がどんどん改善されていく。Ausbilder教官のプロになって行くわけです。

僕の通った時計学校は国立だったからか、質の高い工具が本当によく揃っていた。それに比べて、会社のアツビが使える工具は質・量ともに見劣りする。それからクラウディオが彼らの教官となって養成をしていますが、これは彼にとってあくまで副業で、彼は彼らの作業場にいないことが多々ある。だから、彼らアツビはクラウディオのことをよく探しています。「クラウディオどこですか?」って。あの探している時間って本当に無駄。そういう無駄こそが「実践」といえるのかもしれませんが、あんなこと学校ではありえないです。

「実践」というのは聞こえはいいですが、それはあくまでも「基本」がちゃんと出来ていて初めて意味を持つ。皆さんも何度か見たことがあると思いますが、よく外人局などのお役所に行くと、Praktikanten実習生、研修生と思われる若い人がコンピータの前で暇そうに座っていることがあります。こっちは長蛇の列で並んでいるというのに、ぜんぜん窓口に出てこない。たぶん彼らには事務処理を行う基本的な知識がないんでしょう。職種によってはそんな時間を過ごしていても「いい経験」になるのかもしれませんが、時計職人養成の場合はたった3年間でかなりの量の技術を学ばなければいけないのですから、養成のプロが専属にいて、基本技術を集中して学べるVollzeitschuleのほうが良いというのが僕の意見です。

0309:まさみさん
コメントありがとう。マイナーなテーマで誰もコメントくれないかと思った(笑)。
確かに学校だけだとマンネリ化するかもしれませんね。ただ会社でも、アツビに失敗が許されないようなことは頼みませんからね、彼らを見ていてもあんまり緊張感はないです。学校だと実技しながら、「ここが難しい」とか「こうやるとうまく行く」というような今取り組んでいる課題、問題を共有する仲間が多い。今の会社はたった2人だけですからね、課題の問題を共有する仲間が少なすぎるような気がします。それから、夕方からの自主的な作業とかいうのも学校だからできるのだと思います。社員のいなくなった会社で夕方からアツビだけが働くということは事実上無理です。
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by furtwangen | 2009-03-08 22:10 | 黒い森の小さな町